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降りしきる雨の中、過去に思いを巡らせる人々のお話。 あけりんは与えられた屋敷で、書き物をしつつ、ノブ様と初めて会ったた日のことを思い出す。 「あれからもう、何年経ったであろう…」 とモノローグ。そうして出てくる何年か前のあけりんは、後ろ髪をちょろっとまとめていて、今より少し幼くて可愛い。京で公方様に仕えていたとか、やっぱりあけりん、良く出来た子。 雨を見やっていると、近くの建物から人の騒ぐ声が聞こえる。 何事かとやって来ると、そこでは若き日の(今でも若いけれど)まだ顔に隈取をしていないノブ様が、長雨の退屈しのぎに、と相撲を取っている。 １対１ではあまりに強すぎるノブ様、３対１でも余裕で勝ってしまう。 「何者だ？」 「尾張の殿様でございます」 側にいる僧(当然女の子だけれど…立場的には小僧さんか)に問いかけるあけりん。あけりんは普通に話しかけて、僧は丁寧語で応えているところを見ると、あけりんはそこそこの立場にあるようだ。 「もっと儂を楽しませてくれる者はおらんのか！」 と辺りを見渡すノブ様の目に入ったのがあけりん。 特に武芸に秀でた風もない、正直ひょろっこい感じのするあけりんだが、ノブ様をまっすぐ見つめて視線を逸らすことをしない、その様子に何かを感じ取ったらしい。 「貴様、相手をいたせ」 で、相撲を取るノブ様とあけりん。ほぼ互角かと思われたが、投げようとしたあけりんはノブ様に足を弾かれてしまう。 ふと思ったが、第３話であけりんとイエヤスとが「れくりえいしょん」の一環で相撲を取っていたが、この時の２人はほぼ互角に見えた(イエヤスがこっそり使った魔法技であけりんが負けてしまったが) この時のノブ様とあけりんもほぼ互角…体術的には皆それほど変らないということか？ ともあれ、ノブ様は倒れたあけりんに名を尋ねながら手を貸そうとする。 「なかなかやるな。名は何と言う？」 「明智ミツヒデと申します」 その手を借りずに起き上がるあけりん。 あけりんの名を聞いてうなずくノブ様の笑顔がすごく素敵！と思ったら、あけりんまで頬を赤くしていた。一瞬にしてあけりんを落とすとは…さすがノブ様。 日は移り、部屋で書き物をしているあけりん。周囲には大量の書や巻物が転がっている。そこに障子を開けて現われるノブ様。 「織田殿…何事ですか」 この時はまだ「織田殿」なんだね。 「遠出をせぬか」 「お断りします」 「何を言うておるか！」 と障子を完全に開け放つノブ様。外から差し込む太陽の光と、ノブ様自身の光に一瞬目を奪われるあけりんだが、重ねて遠出の誘いは断って書き物の続きをしようとする。 が、その書き物を無理やり奪い取って、結局あけりんを遠出に連れ出してしまうノブ様。強引だ！でもそこが素敵。 ノブ様はそのまま川に入って魚を掴んでみたり、野苺(…かな？)を豪快に齧ったり。あけりんが一粒ずつ上品に食べているのを横からつかんで一口で食べてしまったり。 上品とはいえない所業に驚きつつも、楽しそうなノブ様の様子を見ていると何も言えなくなるあけりんがもう、明らかにノブ様に落とされている…。 その後もノブ様は木登りしたり、農家に混じって田畑を耕してみたり、あけりんをお姫様抱っこしてみたり！(ここ重要) 「噂には聞いていたが、型破りな振る舞いにも程がある。何故私がこんな風に振り回されなければならないのか…全く理解できん」 理解できないと言いつつも、そんなノブ様に惹かれていくあけりん。 ある時、あけりんがノブ様にお茶を点てている。明智光秀もお茶の道具を色々収集していたし、パチでのあけりんの好きなものは「お茶」なので、色々な意味でナイスな場面である。 あけりんがお茶を点てている様子をじっと大人しく正座しながら見ているノブ様が何だか可愛い。 「どうぞ」 が、受け取ると同時に腰に手をやり、膝を立てて飲み干すノブ様！子どもか！ 「ノブナガ様…お作法というものが」 先には「織田殿」だったのがこの時にはもう「ノブナガ様」になっている。お茶菓子がないので季節は分からないが、そう長くは経っていないであろうにこの急接近。 「固いことを申すな」 と言いながら笑うノブ様を見て、穏やかに笑っているあけりん。蜜月、というやつかな。 そんなあけりんに、明日、尾張に戻ると告げるノブ様。 一瞬驚き、淋しそうな顔をするあけりん。何だ、もうメロメロじゃないか。 「ミツヒデ、儂の手伝いをせぬか？」 そうしてあけりんに詰め寄り、その両肩に手をかける。 「儂は天下を取りたいのだ。そのためには、貴様の長たる知恵が、その才が必要なのだ！」 その言葉を聞きながら、あけりんの瞳に映るノブ様はまっすぐにあけりんを見てくれている。 「お屋形さまは、それまでの無味乾燥であった私の人生に、潤いを与えてくださったのだ…」 …あの時、どれほど嬉しかったことか…。 「あのお言葉は、私に向けてだけのお言葉であったはず…」 「それはないない、ないですよ、親方！」 あけりんの独り言に、かるた遊びをしていたヒデヨシの言葉が重なるこの演出、憎いな…。 というわけで、後半はノブ様とヒデヨシの探検話と、ノブ様のキセルの思い出話。 とはいえ、個人的には前半だけでお腹いっぱいなので、もう少しだけ書いてみる。 回想シーンであけりんの元にノブ様が現われた時、あけりんは障子、外に背を向けて座っているけれど、冒頭部分では障子に向かって座っているんだよね。これって、ノブ様が障子を開けてやって来てくれたあの日のことを思い、またあのようにノブ様が現われてくれるのではないか、と無意識にそうやって、ノブ様を待っているのかな…とか思ってみたり。 考えてみたらあけりんは１人で屋敷で過ごしているのに、ノブ様はヒデヨシと城でかるた遊びとかやっているんだよなぁ…何だか淋しいなぁ…。 で、ノブ様がヒデヨシに思い出話してみたり、まるでルパンV世のように素晴らしい身体能力を持って数々の罠をすり抜けたりしている間に、何となく身をもてあましたあけりんは雨の中、木刀を振り始めている。 …って、あけりんの足！ いや、普段の鎧姿でも普通に足は見えるのだが、着物の裾をめくり上げて左足だけが見えているというのが何だかドキドキする！ そこにマサムネが現われる。 「甲冑集めは順調なご様子」 「マサムネ殿の情報があってのことだ」 「いくらありかが分かったところで手に入れるのは容易な事ではありませんから」 そう言いながら手近な木刀を取っていくらか素振りするマサムネ。 「何故マサムネ殿は自ら甲冑集めを行わぬのだ？」 「そのことですか」 答えつつ、マサムネは木刀を持ってあけりんに相対する。それに応えるようにして木刀を構えるあけりん。 しばらくそのまま向かい合っているが、まっすぐなあけりんの視線から逃れるように、マサムネは構えを解く。 そして、自分には武術も、武士としての器もなく、真紅の甲冑をまとうのはノブナガ殿にこそ相応しい…と告げる。 「確かに、お屋形さまを置いて、他にはおらぬ」 そう答えるあけりんは誇らしいんだろうね、ノブ様のことが。 「そのノブナガ殿に信頼を得ているミツヒデ殿がうらやましい」 その言葉に、曖昧にうなずくあけりん。 「それにしても、最近のノブナガ殿はどうかしておられる。あなたという右腕がありながら、あのヒデヨシとかいう者に随分肩入れされている。私から見れば、ミツヒデ殿がいれば、それで十分に思えますが」 挑戦的な口調に警戒心を煽られるあけりんは口をつぐむ。 「とはいえ、結局はこの甲冑集めにおいて、ノブナガ殿は貴殿の働きを何より期待しておいででしょう」 「ああ。マサムネ殿に言われるまでもなく、尽力する」 これ以上、マサムネの言葉に耳を貸すつもりはないことを示すかのように、再び木刀を振り始めるあけりん。 恐らくこの時のマサムネは、ヒデヨシの存在を語ることであけりんの焦りを呼び起こそうとしているんだろうね。そしてあけりん自身、ヒデヨシの存在に苛立ちや焦りを感じているのでなおのこと、耳を貸さないようにしているのだと思う。 そうこうするうち、城の地下で作動しまくっていた罠から何とか脱出口を見つけ出したノブ様とヒデヨシ。 「お屋形さまの願い、必ず叶えていただく。この命に代えても」 「ほぅ。まさに武士の本懐ですね」 再び対峙して話しているが、マサムネの口調はやはりどことなく、あけりんを煽ろうとしているように感じられる。 と、すぐそばの池から巨大な水柱がたちのぼり、現われるノブ様とヒデヨシ。ヒデヨシはノブ様に抱きかかえられていたりするし。 「ここへ出たか」 呟くノブ様。 「あ、あけりん。すごかったんだよ。あのね…」 「離れろ、離れろと言っておろうが！」 ノブ様に抱き上げられたまま能天気に話し始めるヒデヨシを引きずり下ろそうとするあけりん。そりゃあ、そうだよね…。 一段落ついて、ノブ様の頭を手拭で乾かしているあけりん。考えてみたらあけりん自身もさっきまでびしょ濡れだったのに…よほど大事なんだね。 「あけりん、もう１枚タオルない？」 「このように濡れて…一体何があったんです？」 ヒデヨシの言葉を一切無視するあけりん。そんな様子を眺めて笑っているマサムネの様子には、先程までのあけりんに対する挑戦的な空気は微塵も感じられない。 「それにしても、すっごい…」 と、ヒデヨシは先程までのできごとを話そうとするが。 「ヒデヨシ！」 ノブ様がそれを遮る。 ちょっと口調が強いので口止めでもするのかと思いきや。 「貴様も風邪を引くぞ」 そう言いながら、頭を乾かしていたあけりんの手を払いのける…何だか冷たい感じがして淋しい。 「場内の者に何か温かいものを作らせよう、来い」 それでいて、ヒデヨシに対しては優しい顔をするんだよね…。 「マサムネもどうだ」 「では、お言葉に甘えて」 何と言うか…あけりんにも声を掛けてあげてくださいよ、お屋形さま…。 それでも、いそいそとノブ様についていくあけりんは、まるで仔犬のようで可愛い。 １人その場に残ったマサムネは空を見上げて右目の眼帯に手をやって…って、伊達眼帯か！ で、ちょっとした回想シーン。 第１話のあの神社で、ライダースーツのようなものを着た人物から、ＯＰの最後に出てくる携帯端末みたいなアレを受け取る伊達先生。 その後、神社の境内で怪しげな儀式のようなことをやっていると、そこに飛び込んでくるヒデヨシ…って、これは第１回の最初の方のあの場面だね。 というわけで、伊達マサムネは伊達先生でした、ということがはっきりするこの場面。ところが次にはっきりしないのは、あの機械は何だ？あのライダースーツを着た人何者だ？ということ。謎が謎を呼ぶ展開か。 再び眼帯を戻すマサムネ。何かを思う風なマサムネに 「マサムネさーん！」 能天気に呼びかけるヒデヨシ。 「日出さん…」 少し和んだ風に微笑み、３人の後を追うマサムネ。 ずっと降っていた雨は止み、日が差し込んでいる。 というわけで、言うなれば「あけりんの遠い日」なわけだが、あけりんにとってノブ様は、それこそ本当に全てなんだろうね。 第７話 演劇乙女 第８話 微熱乙女 第９話 西国乙女 第10話 心中乙女
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